我が子が通う学校が最良の環境であることを親としては期待しますが、残念なケースが数多くみられます。私自身が親として感じたことや、保護者や塾生から相談されたことを、学校や教師、ひいては日本の教育そのものが改善されることを願い、ブログ記事としてまとめました。
教科書を軽視する教師
ゆとり教育が廃止されてから教科書のボリュームが増えました。高校生は大きなリュックにたくさんの教材を詰め込んで、旅行にでも行くのかと尋ねたくなる程の荷物です。私立高校よりも県立高校の生徒の方が荷物が多いようです。最近では腰痛の学生が増えているという報道を目にしました。
鞄の中身は教科書、ノート、副教材、プリントなど、授業に関連するものです。授業で全ての教材を使うのかと尋ねると、教科書はほとんど使わないとか、全く使わないと答える生徒が多いのです。プリントと副教材を中心に使うのです。授業で配布されるプリントを見せてもらうと、ポイントが押さえられていてとても良いと感じました。でもよく見ると教科書と同じ内容です。プリントをファイルしたりノートに貼りつけたりして持ち歩いているので、日増しに量が増えていきます。やがて教科書を2セット持ち歩いているのと同じ重さになってしまいます。ある生徒は、教材が入りきらなくなったので、もう一回り大きなリュックに買い替えたと話してくれました。授業で使わないものは鞄に入れなくていいのではないかというと、先生からはすべて持ってくるように言われているという返答でした。
プリントを覚えるとテストではそれなりに点が取れるとほぼ全ての生徒が言います。でも少し気になったので、教科書に書かれている基本事項を質問してみたところ、基礎を理解していないのか、きちんと答えられません。根拠が曖昧なのです。
プリントのまとめ方自体は、勉強ができる生徒のノートのまとめ方に似ています。できる生徒は、問題に対する分析や関連付けを行い、そのプロセスを記録しながら整理することで理解を深め、大切なことを覚えるためにノートを使います。様々な工夫やアイデアを試して勉強の仕方がより上手くなり、その結果として学力が伸びていくのです。
プリントの見栄えはできる子のノートと同じですが、できるようになっていくプロセスと経験を教師が奪い取ってしまうので、結果的には単なる暗記用のプリントで終わってしまうのです。プリントの内容がいいのは否定しませんが、勉強は知識を獲得したり能力を伸ばすための自助努力であるはずです。書き込むだけでおしまいのプリントを使用した授業は能力開発を阻害していると言えるのではないでしょうか。工夫することの価値や楽しさを説いて、教科書の内容をきちんと教える授業を行う教師が、生徒の学力を伸ばしていくためには有益な存在なのです。
【対策】
残念ながら教科書を軽視する教師に当たってしまった場合、考え方を変えて『自助努力をするチャンス』と捉えると良いでしょう。授業プリントの空欄を埋めておしまいにするのではなく、教科書をしっかり読み込み、プリントに用語の定義などを書き加え、自分で調べたことをどんどん書き込んでいきましょう。ノートにプリントを工夫して貼り付け、書き足すスペースが必要なら大きめの付箋を使って補います。ノートのレイアウトを考えて全体を活用することで、プリントの固定された枠組みから抜け出すことができます。このように、自ら工夫して勉強ができるようになるプロセスと経験を積み重ねることで、学力が向上していくのです。