ウチダザリガニから考察する生態系の問題

2022年7月17日の朝日中高生新聞掲載の記事に、とても興味深いものがあったのでご紹介します。

外来種を駆除し有機肥料に

記事によると、北海道美幌高校の農業科の環境改善班に在籍する4人の高校生が、学校のカリキュラムで持続可能な資源循環型農業を学んでおり、その一環として取り組んでいるのが、特定外来種に指定される「ウチダザリガニ」の駆除と有機肥料づくりです。

ウチダザリガニはもともと、昭和の初めに食用目的でアメリカから輸入されたもので、摩周湖で養殖が始まり、今では北海道のほぼ全域の湖や川にいるそうです。それがなぜ駆除の対象になるのかというと、ウチダザリガニはとても攻撃的で、在来種の日本ザリガニを捕食してしまいます。食べるエサもほぼ一緒で、日本ザリガニの巣穴を占拠し、感染したら日本ザリガニは死んでしまう細菌も保菌しています。日本ザリガニの生存を脅かしているだけではなく、在来種の魚介類にも被害を及ぼしています。

固有種を保護するために、ウチダザリガニの駆除は年に3~4回、5~9月の間に網走川や美幌川などで行います。捕獲したウチダザリガニは冷凍しておき、有機肥料の原料にします。ウチダザリガニを粉状にしたら、コメのもみ殻燻炭と米ぬか、おからを混ぜます。3週間発酵させると「ザリガニ有機発酵肥料」の完成です。肥料を使ってこれまでに栽培した野菜はカボチャやニンジン、ハクサイ、キャベツなど。収穫量が平均で1.4倍増えるそうです。「おそらく、ザリガニの殻に含まれるキチン由来の成分が、土壌の中のよい菌を活性化させるのでは」と顧問の野口潤先生はみています。

班長の槻間拓斗さんは、「ウチダザリガニは正直うれしくない存在ですが、命であることに変わりがない。ただ駆除してしまうのではなく、肥料として循環させていく取り組みに意味があると感じます」。

副班長の及川柊弥さんは「活動を通じ命を無駄にしちゃいけないなと感じています。みなさんも、もし機会があったらウチダザリガニの駆除活動に参加してほしいです。最初は川遊びやウチダザリガニを捕まえるのって楽しいな、だけでいいと思う。そこから命の大切さを学んでもらえたら」と話します。

※2022年7月17日朝日中高生新聞GOGO高校大学(戸井田紗耶香さん)より抜粋して引用

まず、いま起きている問題を知ることが大切

世の中には様々な問題があります。そしてそれらの問題は、一つのアプローチでは解決できないものがほとんどです。もしあなたがその問題を解決したいと思い意見するのであれば、意見する前にまず「よく知ること」が大切です。よく知るというのは「現地へ足を運んで、現地の人の話を聞くこと」です。できればそれを経験することです。本やテレビ、インターネットなどの間接的な知識だけでは不十分です。政治家や官僚など、国家や国民に影響力の大きい立場の人ほど、それが必要なのではないでしょうか。自ら動く、つまり能動的な姿勢が仕事の成果を決めるに違いありません。

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